第35回中丹文化芸術祭「中丹写真展」入賞作品  
 ◎審査員 椎﨑義之(写真家)総評 

 昨年からのコロナ禍が続き色々心配をしていましたが例年の一般部門、初心者部門に加え今回は第35回という節目での記念部門にも応募される方も多く、たくさんの作品を見させていただくことができました。中でも記念部門のテーマ「道」では、テーマが明示されていることで最終イメージが湧きやすいのか、一貫してタイトルと作品が繋がり、納得させられる作品ばかりでした。また発想も多岐に渡り見応えがありました。もちろん一般部門も初心者部門も写真は素晴らしいのですが、なんとなく被写体に撮らされていると感じる作品もあることは確かです。自分のテーマを持つことは改めて大切だと感じました。
 作品それぞれのクオリティは昨年に比べ、非常に高くなったように感じました。基本的な部分での失敗は少なくなり、最終の作業のプリントの良い作品が多くなったように思います。もちろん額装も含めてです。人に見てもらうわけですから最後まで気は抜けません。これは本当に大切なことです。
  こんな時期だからこそ、写真を撮ることや見ることで心を潤すことができるのは、写真の力だと思います。今回写真展を見て頂き少し興味を持った方や、出品していただいた方々も、自分が感じたことや感動したことなどを大切に、記録でもいいのでどんどん撮影して残してみませんか。きっと後で見返すと大切なものになることでしょう。

◎一般部門 
 知事賞 
丸くなれ
築山忠則(綾部市)

 広々とした夜空を埋め尽くす星空は、見るものを惹きつけます。昼間とは大きく異なる世界に驚き、彼方の星に想いを馳せてみたりと飽きることがありません。今回の星の軌跡や蛍の光?の星風景はカメラが進化した今でも特別なテクニックが必要で難しいものですが、丁寧に撮影されています。悠久な静寂を感じさせ、このご時世に心落ち着かせてくれる魅力ある作品です。知事賞おめでとうございました。

  実行委員長賞
 わたつみ
岡本和代(綾部市)
 時に波はこんな表情を見せるのかと驚き、同時におののきに似た感情が湧き上がりました。まるで意思を持っているかのように感じたのです。そしてタイトルを見て納得。何か警鐘を鳴らされているのかも知れません。瞬間を捉えた迫力の1枚となりました。
  実行委員長賞
 逃飛行
村上正美(綾部市)
 綺麗に並んで飛ぶ姿が赤く染まる景色と相まって美しく力強い作品になっています。自然の風景はごく僅かな時間輝く時がありますが、そこを逃さず更にシルエットの並びも捉えたことは普段からの撮影と集中力の賜物だと思います。 
  実行委員長賞
流転
松岡秀雄(舞鶴市)
 

 作者自身が感じることを表現することは難しく、景色を写すだけではうまくいかないことが多く悩んでしまいます。表現したいイメージを持つことが必須ですが、そこが確立されていると思います。作者の持つ独特の世界観がプリントに現れている作品です。

  奨励賞
 かなたへ
四方純子(綾部市)

 どこが魅力的な形に見えるか、何か面白い部分はないか。作品を見て、撮影は改めて観察し、想像することが大切だと感じました。水滴を纏う姿は美しく、背景に見せたボケが方向性、流れを生み出し、「かなたへ」向かっていくようです。見る人に想像させるのが良かったです。

 
  奨励賞 
 秘瀑
塩見博之(綾部市)

 事前に撮影の時間帯を考え、当日の天気を選ばないといけない被写体ですね。虹色と差し込む光の両方を生かすバランスなどが計算されていて、構図や露出のコントロールなど隙がない仕上がりで完成された作品になっています。

 
  奨励賞
由良川の朝
中山茂樹(綾部市)

 川のかたちや、雲や川に沿うように差し込む太陽の光が街の広がりを強調します。構図はバランスがよく、流れを生かすことができています。雲が見えるほど高い場所から今、自分がこの光景を眺めているような感覚になりました。

 
  奨励賞
 氷瀑の華
塩見一則(綾部市)

 自然の中の造形にはたびたび驚かされます。氷などの撮影はコントラストの調整が非常に大切ですが、この形はもちろん、氷の透明感などをうまく表現されています。この作品の飛沫氷が小さな自然の芸術品になっています。

 
  奨励賞 
高原の朝
白木勇治(福知山市)

 構図、光(天気)、時間帯、状況・・様々な条件が揃うことが必要なので何回も通われた中の1枚だと思います。高低差のある中で霧がたまり流れができ太陽が上がり光が木々の間を通り抜ける。それぞれを整然と配置したことが目を引きます。幽玄で神秘的な光景に仕上がりました。

 
  奨励賞
 僧兵祭り
足立順子(福知山市)
 

 シャッタースピードの選択、動きに合わせながらの撮影など色んな要素が詰まった難しい撮影です。作者の撮影技術の高さが光ります。炎、御輿の動き、担ぐ人の表情などが重なり合い、迫力のある作品に仕上がっています。

  奨励賞
 アトリ里山に舞う
霜尾敏和(舞鶴市)

 すごい数で圧倒されました。ばっちりのタイミングです。また背景の選び方が素晴らしく、もし茅葺の屋根だと里山のイメージは強いですが、色が被ってダメになります。この色と無地なのがポイントでした。よく観察しつつ、シャッターチャンスを掴んだ作品です。  

  奨励賞 
夕映え
河田長友(舞鶴市)

 桜、船屋、灯りと最高の組み合わせです。有名スポットですが、ここぞというタイミングで撮影されています。明るい時間から暗い時間に移る中、ライトに照らされる桜、部屋の明かり、屋根や船の明るさのバランスが絶妙でした。日本の原風景というような作品です。  

  奨励賞
神妙に
藤原泰男(舞鶴市)
 

 背景をぼかし主役を引き立てながら、子供ながらにきりっとした大人びた表情を印象的に捉えられています。このコロナ禍の中、少し心も沈みがちですが、この表情を見ると頼もしくも見え、明るい未来が見えてきそうで温かくほっとした気持ちにさせてくれます。

  奨励賞 
 瑠璃色の地球
有本桂子(舞鶴市)

 本当にタイトルのように美しい地球を見ているようです。はっきりとわかりませんがPLフィルターなどで調整し試行錯誤されたのではないでしょうか。色を表現するのが大変だったと思いますが、幻想的で見る人を魅了する作品になりました。

 
           記念部門入賞作品    初心者部門入賞作品      審査員・委嘱作家作品