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第37回中丹文化芸術祭
中丹写真展入賞作品
一般部門
※写真をクリックすると拡大します。
知事賞
実行委員長賞
「どろんこタイム」四方敬一(綾部市)
同じイベントを撮ったと思われる写真が何点か出品されていました。競技の最中の必死な表情も魅力的ですが、これはすべてが終わって「出し切った~」と倒れ込む瞬間のように見えます。笑顔と跳ねる泥の躍動感が一体となって、見るこちらも楽しい気分にさせてくれます。
奨励賞
「廃船」河田長友(舞鶴市)
風景の一部を切り取ったことで説明的要素が削がれ、不思議な質感を持つ物体と青の色彩だけが目に入ります。一見すると何を撮ったのかがわからず、美しい抽象絵画を見ているようで惹かれます。絶妙な切り取りの上手さに「あっぱれ!」です。
「時の流れ」木﨑誠(福知山市)
写真の中に文字を入れる場合、それを読んでしまうことで目線が止まるので、なるべく目立たないように対処するのが定石です。ただこの写真の場合は、古びた看板にかつての繁栄が想起されるので、店名を読ませることが効果となっています。
「狸とアナグマが鹿を」四方國裕(綾部市)
センセーショナルなシーンですが、自然の生から死へのサイクルとしては当たり前にあるべきシーンです。ただこのシーンを発表するということはそれなりに覚悟が必要です。その勇気を評価しました。これだけで終わらずその延長で撮り続けて欲しいです。
「宇宙」四方純子(綾部市)
氷に閉じ込められた気泡だと思います。大きな気泡のテクスチャは寒冷な惑星を想起させ、細かい泡は漆黒の宇宙にきらめく無数の星を見るようです。現象を「宇宙」に見立てたことで世界観が広がりました。
「海の叫び」四方卓治(綾部市)
漁港での水揚げのシーンだと思いますが、わずかにスローシャッターで撮ることで網から落ちる魚の動きがブレとなって写っています。それに対して同心円状に横たわる魚の質感がとても美しく印象的です。
「出番前」白木勇治(福知山市)
広角レンズを使って俯瞰気味に撮られた構図により、舞台袖で出番を待つ女の子の緊張感がヒシヒシと伝わってきます。演じている女の子の「動」と袖の「静」を対比させたところも見事です。
審査員 竹下光士(写真家)総評
今年から中丹写真展の審査員を担当することになりました竹下です。これから3年間、どうぞよろしくお願いします。初回の審査を終えた感想としては、地元である中丹を中心に、近隣の風景や歳時、イベントを丁寧に撮られた写真が多数並んでおり、地に足がついているなと感じました。ジャンルも多岐に渡り、そのハイレベルな内容に審査をする者としてはとても難しい判断を迫られましたが、審査後受賞作を並べると、単に「美しい」「整っている」だけではなく、物語性があるものを選んでいたことがわかります。物語があると見る者をその中に引き込む力となります。中丹は自然が豊かで、独特の文化が育まれてきた土地です。遠征するのも楽しいですが、この恵まれた立地である地元をしっかりと撮り切ることで、他にはない物語が生まれるのではないかと思います。そのような写真にまた来年も出会えることを楽しみにしています。