綾部市中央公民館

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中丹文化会館2025年[新春号]チラシ

第38回中丹文化芸術祭
中丹写真展入賞作品

審査員 竹下光士(写真家)総評

昨年に引き続き2年目の審査を担当させていただきました。どの写真も「この光景をファインダーで見たら興奮するだろうなあ」と感じる素晴らしいものばかりでした(お世辞ではなく本当です)。喜々として撮影されている姿が思い浮かぶようでした。そういった秀作ぞろいの中から賞を選ぶというのはたいへん難しいことなのですが、審査にあたって重視したのが、写真のなかの「物語性」です(これは前年の総評でも書いています)。「美しい」「整っている」ことは重要ですが、それよりも主題の後ろに、撮った人の気持ちが読める写真に惹かれました。ただしこれはそうそう狙って撮れるものではなく、偶然もあるでしょうし、撮った写真を見返した時に気付くこともあります。自作を選ぶ時に、カメラマン目線ではなく、鑑賞者目線で見ることをお薦めします。「ダメ」と否定的に思っていたことがおもしろく見えたり、気付かずに埋もれていた作品に出合うことが多々あります。試してみて下さい。

一般部門

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知事賞

写真 知事賞「歪み」河田長友(舞鶴市)

「歪み」河田長友(舞鶴市)

金管楽器に写る像の歪みに気付いて撮られた写真です。伸びた像のおもしろさが主題ですが、頬を膨らませ懸命に楽器を吹く女子学生の表情にも惹かれます。演奏者の横ということで、撮るのが難しい場面ですが、瞬時に構図をまとめた手腕も見事です。

「歪み」河田長友(舞鶴市)

写真 知事賞「歪み」河田長友(舞鶴市)

実行委員長賞

写真 実行委員長賞「ちゃぽん♪」塩見博之(綾部市)

「ちゃぽん♪」塩見博之(綾部市)

水に映る反映を撮った写真はよく目にしますが、この写真からは定番的な美しさ以上のものを感じます。黒地に円形の反映とそれに重なる波紋の対比が見事です。飛び上がった水滴の位置、ピントも完璧で、小さな風景ですが、とても壮大な世界を感じます。

「ちゃぽん♪」塩見博之(綾部市)

写真 実行委員長賞「ちゃぽん♪」塩見博之(綾部市)
写真 実行委員長賞「一番列車」森下洋子(舞鶴市)

「一番列車」森下洋子(舞鶴市)

美しいトーンの写真ですが、それほど目立つ存在ではありませんでした。ただタイトルを知った後は、駅に集う人や柔らかい朝日の光など、写真の背後にあるいろいろなイメージが湧き上がり、ついつい写真の中の世界に引き込まれてしまいました。タイトルはとても重要です。

「一番列車」森下洋子(舞鶴市)

写真 実行委員長賞「一番列車」森下洋子(舞鶴市)
写真 実行委員長賞「時を忘れて」余米清治(舞鶴市)

「時を忘れて」余米清治(舞鶴市)

イルミネーションとカップルだけでは、「お決まり」の写真になるところでしたが、時計を入れたことでファンタジックなイメージが生まれました。タイトルも効果的です。黄色く光る時計の前に木立のシルエットが入ることで、満月のようにも見えます。時計と満月のイメージが、見る距離によって変わるおもしろさを感じました。

「時を忘れて」余米清治(舞鶴市)

写真 実行委員長賞「時を忘れて」余米清治(舞鶴市)

奨励賞

写真 奨励賞「氷貼図」四方純子(綾部市)

「氷貼図」四方純子(綾部市)

見た目だけでは、ブロック塀に氷が貼りついているだけで、誰も気にも留めないと思います。これを写真で撮ることで、実は美しかったのだということに多くの人が気付きます。このような「美しい」物を皆さんでもっともっと探していきましょう。

「氷貼図」四方純子(綾部市)

写真 奨励賞「氷貼図」四方純子(綾部市)
写真 奨励賞「傑作を撮る」土佐征英(福知山市)

「傑作を撮る」土佐征英(福知山市)

夜景を狙って展望台に上がられたのだと思いますが、雨上がりなのか、生憎の霧でよく見えていません。普通に撮ったのでは作品にするのは難しいと判断されて、手前にそれを撮る観光客を入れたのだと思います。それが功を奏して、観光客の歓喜が伝わるようなスナップになりました。

「傑作を撮る」土佐征英(福知山市)

写真 奨励賞「傑作を撮る」土佐征英(福知山市)
写真 奨励賞「よっしゃー!」中山茂樹(綾部市)

「よっしゃー!」中山茂樹(綾部市)

1位の男子の表情は、タイトル通り「よっしゃー!」でよいと思います。でも意外とこの写真の見せ場は2位と3位の子の表情にもあります。思春期らしい、負けて少し照れ笑いしているような表情が魅力的です。

「よっしゃー!」中山茂樹(綾部市)

写真 奨励賞「よっしゃー!」中山茂樹(綾部市)
写真 奨励賞「水温む初夏」はたの与彦(舞鶴市)

「水温む初夏」はたの与彦(舞鶴市)

望遠レンズの圧縮効果を使って、池の様子を平面的に切り取った写真です。咲く花など、何か主役になるものをあえて写さないことで、タイトル通り、季節の狭間の気配や光が画面全体からやんわりと伝わってきます。

「水温む初夏」はたの与彦(舞鶴市)

写真 奨励賞「水温む初夏」はたの与彦(舞鶴市)
写真 奨励賞「時空の旅へ」藤原泰男(舞鶴市)

「時空の旅へ」藤原泰男(舞鶴市)

作者の意図とは違うかもしれませんが、私がおもしろいと感じたのは、平安装束を着た人々の後ろに写っているのがすべて外国の人ということです。不思議なシチュエーションです。タイトルにもそのあたりのことが反映されると、作品が語る要素がもっと膨らむように思います。

「時空の旅へ」藤原泰男(舞鶴市)

写真 奨励賞「時空の旅へ」藤原泰男(舞鶴市)
写真 奨励賞「水玉の中で」堀島信之(福知山市)

「水玉の中で」堀島信之(福知山市)

雨上がりなのでしょうか、水滴とアマガエルの質感が見事です。水滴を撮ったからと言って、瑞々しさが出せるかと言ったらそうでもなく、これはピント位置や質感描写の賜物だと思います。圧倒的な技術力があってこその表現だと言えます。

「水玉の中で」堀島信之(福知山市)

写真 奨励賞「水玉の中で」堀島信之(福知山市)
写真 奨励賞「葉魚の縄張争い」松岡秀雄(舞鶴市)

「葉魚の縄張争い」松岡秀雄(舞鶴市)

葉も背景の木目も、モチーフの選び方がうまいと思います。葉っぱを魚に見立てていますが、すぐにそれと分かるようなものではなく、1拍おいてから気付く程度のゆるい形のものを選んでいます。この「1拍おいて」の部分に大人らしいセンスを感じます。

「葉魚の縄張争い」松岡秀雄(舞鶴市)

写真 奨励賞「葉魚の縄張争い」松岡秀雄(舞鶴市)
写真 奨励賞「水鏡」村上正哉(綾部市)

「水鏡」村上正哉(綾部市)

撮った写真の上下を反転させて見せています。不思議に見えるのはこれが池に映った空だからです。惜しいと思うのは、山の分量が少し多いことです。主題は空の広がりなので、山はこの半分くらいで十分です。

「水鏡」村上正哉(綾部市)

写真 奨励賞「水鏡」村上正哉(綾部市)

初心者部門

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奨励賞

写真 奨励賞「人参も黄昏れるんやで」楠理久(舞鶴市)

「人参も黄昏れるんやで」楠理久(舞鶴市)

この人参をどこに置いて撮るのかで物語が変わってきます。背景にジョウロがあることで、土の気配が感じられます。

「人参も黄昏れるんやで」楠理久(舞鶴市)

写真 奨励賞「人参も黄昏れるんやで」楠理久(舞鶴市)
写真 奨励賞「清夏」政岡美涼(舞鶴市)

「清夏」政岡美涼(舞鶴市)

よいタイトルです。夏の気配が写真から感じられます。手前に無粋な電柱と街灯を入れることで、それ越しに夏空を見ているようです。

「清夏」政岡美涼(舞鶴市)

写真 奨励賞「清夏」政岡美涼(舞鶴市)
写真 奨励賞「種の壁」渡部佑碧(福知山市)

「種の壁」渡部佑碧(福知山市)

写真らしい表現のひとつに、視覚だけでは気付かない対象の表情や質感の描写力があります。人と近いようで、遠いオランウータン(?)の手の表情が新鮮に撮れています。

「種の壁」渡部佑碧(福知山市)

写真 奨励賞「種の壁」渡部佑碧(福知山市)

中丹写真展委嘱作家

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写真 「朱を刷く」安達秀敏

「朱を刷く」安達秀敏

「朱を刷く」安達秀敏

写真 「朱を刷く」安達秀敏
写真 「森の宝石」大地洋次郎

「森の宝石」大地洋次郎

「森の宝石」大地洋次郎

写真 「森の宝石」大地洋次郎
写真 「偶々」岡本晃一

「偶々」岡本晃一

「偶々」岡本晃一

写真 「偶々」岡本晃一
写真 「孤島」村上正美

「孤島」村上正美

「孤島」村上正美

写真 「孤島」村上正美
写真 「防火への願い」和久秀輝

「防火への願い」和久秀輝

「防火への願い」和久秀輝

写真 「防火への願い」和久秀輝

審査員

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写真 「造山の堆積を攀じる」竹下光士

「造山の堆積を攀じる」竹下光士

「造山の堆積を攀じる」竹下光士

写真 「造山の堆積を攀じる」竹下光士