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第39回中丹文化芸術祭
中丹写真展入賞作品
一般部門
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知事賞
実行委員長賞

「氷紋」有本隆司(舞鶴市)
神秘的な薄氷の色彩と点在する茎周辺の淡い緑のまだら模様、それと残雪の白のコラボレーションがとても魅力的です。トーンの処理もうまく日本画をみているようです。風景を造形的に切り取ると広がりに欠ける写真になりがちですが、それを両立させたフレーミングが見事です。
奨励賞

「ふれあい」大塚弘文(綾部市)
2羽のコウノトリが舞台に立っているかのようなライティングのなかで浮かんでいます。双方ともにピントが目にあっており、タイトルにもあるように、お互いの関わり合いが感じられる作品になっています。写真にとって光がいかに重要かがわかる作品です。

「森のリフレクション」四方卓治(綾部市)
車体の曲面によって歪んだ森の様子だけをアップで撮ることもできますが、あえて実景の杉林を多く見せることで、その対比効果が効いています。森に降り立った宇宙船のようにも見えます。おもしろい被写体はどこにでも転がっているという好例です。

「波紋」柴田仁実(綾部市)
波紋を撮ってはいますが、作者の意識は、それを超えて抽象絵画を描くような気持になっているのではないでしょうか? 空を映したであろうトルコブルーは、極端に彩度を上げることで画面のバランスが壊れる危険がありますが、作者はそれを見事にコントロールしています。

「冬怒濤」島本和美(舞鶴市)
柱状節理で有名な「立岩」が被写体です。吹雪明けなのでしょうか、重たい雲と雪が付着した岩壁が印象的です。寄せる波の形状もしっかり見極めてシャッターを切っており、作者の撮影と現像の力量の高さを感じます。完成度の高い作品です。

「早朝の小樽駅前通」瀬野仁之(舞鶴市)
白く表情のない空がたくさん入り、一見するとシロウトくさい写真に見えますが、よく見ると街には人も車も写っておらず、それに気が付くとドキッとしてしまいます。「普通にあるはずのものがない」、それだけで日常は非日常の光景になり、人を引き付ける力がうまれます。
初心者部門
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中丹写真展委嘱作家出展作品
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審査員 竹下光士(写真家)総評
3年の任期最後の審査となりました。募集点数が大幅に減ったのは残念でしたが、内容的にはこれまでで最高のものでした。自然や伝統的歳時が豊富にある中丹ならではの写真に秀作が多く見られたのがよかったです。気になったのは、「スナップ」の応募作が少なかったことです。昨今は肖像権の問題などがあり、撮影のハードルが高くなってしまいましたが、人の繋がりがしっかりしているこのエリアなら、撮る側、撮られる側の信頼も築きやすそうで、もっとスナップ作品が撮られてもよいのにと思いました。風景系の写真では、やや定番化している点が気になりました。有名な撮影ポイントで見られるドラマチックな光景は、撮る側の気持ちを高揚させますが、審査する側としてはどこかで見たことがあるような印象であまり新鮮味を感じません。自然そのものが持つ造形や営みの不思議に目を向けてみてはどうでしょう。